三重県多気郡大台町
元坂酒造株式会社
元坂 新平 さん
yunou第12回目。
その日亀山から向かった僕らはまず大台町の寒さに歓迎された。
今回新平さんと会う前に、一度元坂酒造のコンセプトブックを見ていて。
そこには酒屋とは思えないほどのかっこよさと信念がありのままに書かれていて震えました。
新平さんの紹介を少し。
三重県の酒蔵「元坂酒造」7代目。専務取締役。 高校卒業後に上京し、都内のクラブでDJとして活動した後、地元に戻り父である「元坂酒造」6代目・元坂新から酒造りを学ぶ。
DJ?
酒造り?
異色の経歴の彼に興味津々なまま、たくさんのお話を聞かせていただきました。
100年近い建物を背に新平さんが迎えてくれました。
三重県大台町。
山の山の中にある、空気の澄んだ土地に元坂酒造はあります。
新平さんはただ酒が消費されることに勿体無さを感じ、造り手や酒蔵がフォーカスされる時代を望んでいます。
今回お話を聞く中で新平さんは『もったいない』という言葉をよく口にしていて。
それはただモノに対する見方だけでなく、思考に対することが多くて、とても勉強になりました。
僕は今、ひのめでお酒を提供するとき、味のニュアンスというよりかは生産者のことやその土地のことなどをよく話したりします。
それはひのめ横の岡田屋本店のミズキからの影響もあると思うのですが、やはり飲食店をするものとして、その味の感覚は人それぞれで、そこに対して先入観を与えたくないよね。といつもうらちゃんと話しており、今回新平さんも同じようなことを言っていて、よりその思いは強くなりました。
僕たち料理人という人間は’’食’’の生産者はフォーカスしますが、’’飲’’の生産者はあまり語らない人が多いように思える。
このことが’’飲食店’’として成り立っていていない店の多い一番の原因かとも思ったり。
ひのめ始めたころはドリンクを頼まずに水でいいです。というお客さんもたくさんいて、僕は当時すごく葛藤していました。
でもただそれは今思えば’’飲’’に力が入ってなかったことの表れでもあって、昔の自分がフラッシュバックしました。
例えば居酒屋に行ってお酒を選ぶときに、銘柄で選ぶことに危惧している新平さんの言葉を聞いて、自分の立場に置き換えた時に、たしかに。。。。となって。
そもそも論、酒屋はアイテム数=付加価値になる現代の仕組みでは情報は薄れていく。
酒屋と消費者が直接取引するところはより情報が必要になる。
ECが盛んになってきたここ数年は少し希望の兆しが見えてきた日本酒業界ですが、その中で争ってる元坂酒造を広めたいという思いはより強くなりました。
ECが盛んになった背景にコロナ社会が訪れたこともあります。
そのことで会食がなくなり、飲み会もなくなり、日本酒業界、いや飲食業界はパタっと全てが止まりました。
アクリル板越しに日本酒を頼み、隣人と話をあまり交わすこともなく、酒を飲む。そして飲み終わったらまたマスクする。
そんな風景に新平さんも嫌気がさしていたと言います。(死ぬほど気持ちわかります)
酒の力ってコミュニケーションの蓋を開けたり、人とのつながりをつなげたり、そんなポジティブなものであってほしいという新平さんの思いはただ酒造りしているだけでない、社会を見ている人間としての視点を垣間見れました。
『何を飲むかではなく、誰といつ飲むか。』
最初の5分でグサグサと僕の胸に響くワードばかりで、できれば酒を交わしながら話したいとずっと思っていました。。。。。。
つづく。