三重県松阪市
鍛冶安大徳
赤畠 大徳 さん
包丁を作るプロセスを間近で見ていると、とても感心させられます。
一つの小さな金属の塊が私たちの台所ではなくてはならないものになる。
大徳さんは、両側には鉄、中心には鋼の仕込まれた金属の塊を熱して、叩いて、伸ばす。
その過程はタイミングと感覚が命で、金属を熱しすぎてもいけなくて熱しなさすぎてもいけない。
僕たちにはわからないちょうどいい加減で淡々と大徳さんは包丁を仕上げていく。
包丁の柄になる部分を作り出し、厚さを整える。
職人の技術を前にして、僕たちは、ほー。へぇー。と感嘆文ばかり出てきてしまう。
科学の進歩していない時代から名工と呼ばれた人たちは研究を越える領域で仕事をしている。
時にはこれで良しとされているものがその人にとってはそうでなかったり。
大徳さんも農具を研いでくれと言われるとき、’’甘めに’’研いでくれ。とも言われるらしい。
トキントキンに削るとすぐにかけてしまったりするからという理由で。
でもそういう時ほど腕の見せ所だと大徳さんはいいます。
料理で言えば、なんでしょう。
『おいしすぎない料理作って!』と言われるようなものでしょうか笑
難しい。
でもそれができる職人ってとてもかっこいいなと思う。
言い換えればプライドを捨てる。
この思いは最近僕にも芽生えてきた気持ちでもあったので、心に沁みました。
つづく