yunou vol.16 1of4

三重県松阪市

鍛冶安大徳

赤畠 大徳 さん





久々のyunou再開になります。

第16回目の今回は松阪市にある鍛冶安大徳5代目の大徳さんに会いに。



鍛冶安大徳。

鍛冶屋というと、頑固な、職人気質の人間が暗闇でコツコツつくっているイメージがありました。

僕の世代には馴染みのない言葉、『鍛冶屋』。

鍛治とは本来日本刀などを作るために金属を熱して鍛えながら成形することを指します。




昔は毎日使う農工具を鍛冶屋さんに修理をお願いしたり,鉄砲刀などの金属製品の生産など、使い捨て、大量生産の時代になる前までは当たり前に鍛冶屋は存在していました。

それが時代の変化とともに衰退し、今ではホームセンターに行けばなんでも売っていて、修理をお願いする。という文化も少ない。

それは八百屋とか商店街の風景と似たようなもの。







ちなみに鍛冶屋は職業名、鍛冶安は屋号。

明治27年初代赤畠安市が創業。

名前の一文字を取って屋号を鍛冶安としました。

昔は鍛冶◯の◯に初代の名前を入れて屋号としてる所が多く、松阪にも、鍛冶春、鍛冶義、鍛冶秋などなど、今は鉄工所やら建築土木になってるけど、もともと野鍛冶さんだったところが多いそう。

(野鍛冶さんとは刃物はもちろん、農道具、山林道具、漁業道具など、鉄にまつわる仕事をしていた鍛冶屋さんのことです)








大徳さんが作る包丁は職人とクラフトマンの間に位置するように思いました。



職人職人ほどの完璧な思考だけではなく、そこに楽しみや優しさが垣間見れる。

でも技術や思考は職人と同等、それ以上のものを常に追い続けていて、お話を聞いていると非常に多くの共感できる部分がありました。

自分を俯瞰的に見た上で仕事(生活)をアップデートする。

このyunouでは自己解釈をしてきちんと自分の形を表している人とお話しする機会が多いですが、大徳さんもまさに自己解釈をした上でどのようなものが良いかを言語化している人だと思った。









初めて大徳さんのつくった包丁を握った時の感覚はまさにご本人に出会ってこそ意味がわかるような、そんな逸品です。

つづく