僕はポテトフライの中にもコース料理の仕組みを組み込ませています。
大小様々な大きさのポテトが入れ、時にはカリッと、時にはフニャッと、中にはすごく芋芋しい味のするものまで。
これも1種のコースと考え、飽きさせない食べ方を考えているつもりです。
きゅうりの九ちゃんを想像してみてください。
これは僕だけかもしれませんが、変な食感のきゅうりを噛んだ時の心地よさというものはあまり良くありません。
でもそれがカリッと心地よく噛めた時のきゅうりの良さをより際立たせているとも言えます。
音楽では、アルバムの中で、あーなんかこれはあんまり好きじゃないなとかあれはグッときたけどこれは普通だな、という感情が僕にはよく起こります。
ミュージシャンはどのようにアルバムを作っているのか詳しくはわかりませんが、トラック1から進むにつれて、それぞれのストーリーがあるのだと思います。
仮にスピッツがチェリーのような名曲ばかりどしどし詰め込んだアルバムだとどうなっていたのでしょうか。(BEST版は 除きます)
おそらく聞き疲れてしまうと思います。
今はシャッフル機能という音楽をランダムにかけることが当たり前のようにできますが、本来するべきことではないのかもしれません。
料理のコースも同じように、全部ドカン!と美味しい!ではいけないと思っていて、所々で『んんん?』と思ったりして欲しいのです。
もちろんまずい料理は出してはいけないので、『美味しい?よね?』と思えるのがギリギリのラインだと思っています。
あとは五味(甘味、酸味、塩味、苦味、うま味)を色々な角度から量を考えて心地いい食べ具合に持っていくことを心がけています。
ちなみに5味とは場合によって定義するものが異なり、
- 基本味(五源味)は甘味、酸味、塩味、苦味、うま味
- アーユルヴェーダは甘味、酸味、塩味、辛味、苦味、渋味
- 四川料理は山椒の痺れるような味(麻)、辛味、甘味、塩味、酸味
- 仏教では乳味、酪味、生酥味、熟酥味、醍醐味
- 中国の五行説では酸味(木)、苦味(火)、甘味(土)、辛味(金)、塩味(水)
と定義されているようです。
なので、何を言いたいのかというと、コース料理(特に品数が多いもの)というのは単に、皿数を増やし、小量にするのではなく、その中にストーリー性を持たせて食べ手を楽しませる方法を考えるのです。
一つのエンターテイメント要素を含むこの仕事はやはりすごくやりがいがあり、反応がダイレクトに伝わります。
お客さんがリピートしないということはそこに何か理由はあるし、答えもわからないまま改善しないといけない時も多くあります。
ただ、自分が今までして来たことが正しいという気持ちがあれば、少なからずそれは結果に繋がるものでしょう。
いつ答えが出るかはわかりません、むしろ出ないことも多いです。
だから折れそうになっても自分を信じる以外に道はないと思うのです。
だってそれが今まで自分がして来たことだから。
ちょっとポエマーになってしまいました。
CHAN